当事者が活躍できる社会

3月20日(土)14:00〜14:40 開催レポート

2年前に当事者ネットワークみやぎを立ち上げ、当事者が活躍できる場を応援しています。これは認知症でも出来ることではなく、認知症だから出来ることなのです。

出演者

おれんじドア代表 丹野智文氏

講演レポート

丹野智文氏<おれんじドア代表>

認知症「でも」できることではなく、認知症「だから」できることがある

3月20日(土)に配信したテーマのひとつが「当事者が活躍できる社会」です。自身も認知症である「おれんじドア」代表の丹野智史さんから、当事者が活躍できる場についてお話を伺いました。

先に歩んでいる当事者に出会い、目の前に道が開けた

「おれんじドア」の代表を務め、お住まいの宮城県で認知症へ支援活動を行っている丹野さん。

丹野さん自身、39歳で若年性アルツハイマー型認知症を発症しています。

絶望の淵から救われたのは、地域の認知症の仲間との出会いがきっかけでした。

自分が当事者たちの姿を見て前向きになれたように、自分も多くの人を元気づけたい。
そんな思いから丹野さんは2015年に「おれんじドア」を開設しました。

認知症当時者及び家族の不安を解消する相談の場である「おれんじドア」。
当事者を中心に、医療・福祉関係者など、多様な有志によって運営されています。

「おれんじドア」では、当事者と家族が別々のグループに別れて交流します。
当事者同士が出会い、共感する場にするためです。

また、名前や会話は記録しない、アンケートは取らないなど、安心して本音を話し合えるよう心がけています。

ピアサポートを通じて、自分らしく輝ける居場所を見つけてほしい

「おれんじドア」が行うのは、ピアサポートです。運営・参加する人全員の立場は対等。運営側は伴走者として、当事者自身の「やりたいこと」の実現をサポートしています。できないことにフォーカスするのではなく、できることを見つけて主体的に動くことが大切です。得意なことは、誰にでもあります。例えば、当事者ならではの思いを発信し、悩みに共感できるのは、認知症だからできることです。

足を運んだことで前向きになり、自分らしく輝ける居場所へとつなぐ「ドア」の役割を果たすために。病院でもピアサポートを開始し、より幅広い病状の人との出会いも実現しました。常に新しい当事者が笑顔になれる場を目指して、丹野さんは活動を続けています。

ひとりの人間として、よりよく生きるために

また、配信の終盤では、質問コーナーも実施。視聴者の方からの質問にご回答いただきました。

当事者・家族ともに、不安や恐怖を感じるのは、事例を知らないからです。認知症の症状や進行度合いは人それぞれ。早期から当事者同士で交流を持ち、元気に活動している姿を見れば安心して暮らせます。

家族・周囲は、困っているときのみ手を差し伸べるようにしましょう。病名から相手を判断するのではなく、ひとりの人として尊重し、対等に向かい合ってください。良かれと思ったフォローによって意気消沈する当事者の姿を、丹野さんは数多く見てきました。必要なのは、心配ではなく信頼なのです。

何よりも、当事者が自身の選択に納得感を持って実行すること。
前向きに、認知症「だから」できることを活かせば、よりよく生きていけるのです。