誰もが安心して暮らすために。認知症を正しく理解して共に支え合う社会へ
2日目の3月20日(土)のテーマは「支える」。登場してくれたのは、中島珠子さんです。モデレーターを務める認知症カフェの取り組みについてお話を伺い、「認知症サポーター養成講座」もご紹介いただきました。
オレンジは認知症啓発のテーマカラー。対面のつながりを大切にしたい
今、全国で増加中の認知症カフェをご存知でしょうか。
認知症当事者や家族以外に地域の人も参加でき、専門家への相談も気軽に受け付ける場です。
渋谷区内では「オレンジカフェ」という名称で、各拠点ごとに定期的に開催中です。
中島さんは、「たんぽぽカフェ」と「caféマリエ」の2箇所の企画・運営に携わっています。
「認知症を正しく理解し、支え合う場を作りたい」という思いから始めた活動は、地域の方の協力もあり、瞬く間につながりの輪が広がっていきました。現在では、遠方から来る人もいるそうです。
「つながりを絶たない」をテーマに、コロナ禍でも工夫して交流の機会を設けました。自粛ムードの中で落ち込んでいた方たちと会話を重ね、次第に明るくなっていく姿を目にしていくうちに、改めて対面で話すことの大切さを実感したと言います。
若年性認知症の不安を払拭し、自分らしく過ごせる居場所づくり
中島さんが2017年に立ち上げた「caféマリエ」は、若年性認知症に限定したオレンジカフェです。まだまだ認知の度合いも低く、適切な理解・サポートが得られているとは言い難い若年性認知症。働き盛りの年齢で診断されることが多く、家族も大きな不安に苛まれています。
中島さんはそんな当事者の心の声に寄り添った居場所作りを心がけてきました。年齢的にもまだ体力がある若年性認知症の人の希望を聞き、様々なイベントの開催にも取り組んでいます。
同じ悩みを理解・共有できる仲間と出会い、当事者には笑顔が増えていきました。現在では、啓発活動に一緒に参加してもらうこともあるほど、生き生きと変わっていった方たちがいます。
ひとりひとりが認知症について正しく知り、温かく見守っていく街づくり
認知症の方を支援するには、正しい知識が欠かせません。渋谷区で実施している「認知症サポーター養成講座」では、座学で認知症の理解を深めることができ、受講の証であるオレンジリングが認知症の方への応援の目印にもなっています。認知症サポーターになった後、街で認知症の方に声がけする際にも配慮を行いたいものです。
まずは、ひとりで接するようにします。目線を合わせ、優しく挨拶をしてみましょう。一度に質問責めにしてもいけません。認知症の方はナーバスになっています。寄り添うように接していくうちに、少しずつ心を開いてくれるはずです。
超高齢社会が進行している日本では、認知症になることはもはや当たり前。多様性のひとつとして認められる社会にするために、まずは身近なところに尊重される居場所があることが大切なのです。
認知症になっても安心して暮らし続けられる街づくりには、私たちひとりひとりの意識改革と協力が必要です。実際に認知症当事者に会って話を聞いてみましょう。認知症への理解を深め、偏見を無くすには最も有効です。地域の方を知ることは防災上も大きな意味を持ちます。
自分ごととして積極的に学び、共に支え合う社会を作っていきませんか。