認知症とは?

認知症とは

認知症とは、さまざまな原因で脳の働きが悪くなり、記憶力や判断力が低下し、日常生活にまで支障が出るような状態です。
認知症になる一番の要因として挙げられるのは「年を取ること」です。本格的な高齢社会を迎えた今、認知症はとても身近であるといえます。

認知症の「中核症状」と「行動・心理症状」

病気により、脳の細胞の働きが失われることで、記憶力・理解力・判断力が衰えてくることを 「中核症状」といいます。
認知症の人が感じている、うまく適応できない不安や焦り、心身の不調などを、周囲の人が十分理解できないまま対応してしまうことや、認知症の人ご自身の病気に対する葛藤などで、攻撃的な言動や妄想などの症状が出ることを「行動・心理症状」といいます。
中核症状の根治はむずかしいですが、認知症の人が感じている精神的なストレスなどを取り除くことで行動・心理症状を緩和することは可能です。

認知症を引き起こすさまざまな病気

認知症の中では、「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」の3種類が3大認知症といわれていますが、その他にもさまざまな病気が原因となり、脳の障害が起こり認知症を引き起こしています。その種類は数十種類もあるといわれています。

・アルツハイマー型認知症

一番多くみられる認知症です。脳の細胞が少しずつ傷ついていくことで、脳の機能が全般的に低下していきます。脳の変化は、具体的な症状が出る何十年も前から起きているといわれ、徐々に進行していきます。

・血管性認知症
脳梗塞や脳出血などにより、血流が途絶え、脳の細胞の働きが失われることで発症します。
損傷を受けた脳の部分は機能が失われますが、脳全体の機能が低下することは少ない病気です。

・レビー小体型認知症

手足のふるえ、筋肉の硬直などパーキンソン症状や生々しい幻視(目の前にないはずのものが見える現象)が現れるのが特徴です。

・その他の認知症

アルツハイマー型認知症と同じ脳の変性による前頭側頭型認知症、頭部外傷による硬膜下血腫や、髄液の貯留による正常圧水頭症、感染症によるクロイツフェルト・ヤコブ病などがあります。

認知症と間違えやすい「うつ病」や「せん妄」

高齢期は、社会や家庭での役割を失ったり、近親者との死別など、喪失体験が多い時期なため「うつ病」になりやすいといえます。「うつ病」により生じる一時的な記憶力や運動機能の低下が、認知症の症状と間違えられるケースがあります。その他にも大きな手術による入院などで急性の脳機能障害が起こり、一時的に幻覚や妄想が現れる「せん妄」も、認知症と混同されることがあります。
正しい診断と治療のためにも、認知症が疑われる症状がみられたら、早めに専門医を受診することが重要です。